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「いまの時代だからこそ面白いもの」に チャレンジし続けたい

showdotが生み出すイベントには、人をわくわくさせるさまざまな要素が詰め込まれている。あるとき彼らが挑戦したのは、いままで誰も観たことのないショーをつくること。最新のプロジェクションマッピングとリアルの芝居を掛け合わせて、観客をどこまで魅せられるか――showdotとともにその難題に挑んだのは、日本のプロジェクションマッピングを牽引するクリエイティブカンパニー・ネイキッドだった。

Profile

  • 神崎 沙耶香

    Sayaka Kanzaki

    株式会社ネイキッド プロデューサー 新卒で株式会社ネイキッドに入社。入社後は会社広報やネイキッドのイベント宣伝企画、PRコンテンツの制作進行、自社SNSの企画運用などを担当し、現在はプロデューサーとして活動。案件のプロデュースや企画、事業設計のサポート、クリエイティブコンサルティングなど、0から1を生み出す仕事を幅広く担う。

初めてのオファーだからこそ、 自由度が高くて面白かった

――今回のプロジェクトでshowdotとネイキッドが協業したのは、どんな経緯だったのでしょうか。

村松:そもそもshowdotは、継続的にそのクライアントのイベントを制作していました。それである年、先方より「プロジェクションマッピングを使ったショーを目玉コンテンツにしたい」という要望が出たんです。日本一のショーをつくるための依頼先として、会議で満場一致したのがネイキッドでした。具体的なことはまだ何も決まっていなかったので、とにかくすばらしい実績がたくさんある会社がいいと思ったんです。

神崎:ありがとうございます! 最初の打ち合わせで、村松さんからイベントの方向性や成り立ち、スケジュールや作業ボリュームなど、さまざまな情報を誠実に教えていただいたのがとても印象的でした。初めてのオファーの中で、社内の体制をどう整えるべきか、どう進行していくかなどを具体的にイメージできましたし。


村松:それはよかったです。これまで蓄積されていた情報をなるべく細かく伝えて、ご一緒できるか検討してほしいと思ったんですよね。

神崎:「企画段階からクライアントと一緒にやってほしい」というお申し出も、ある意味ありがたいんです。すべてが決まったあとの「ここでこういうマッピングをやってくれ」というご依頼だと、条件が固まっているために、できることが限られてしまう。企画が立ち上がったタイミングの初めてのオファーだったからこそ、腕の見せ所だととらえ、「何をお客様に届けるべきなのか」という視点から一緒になって考えることができ、自由度高くクライアントと取り組めました。

自分たちの作業範囲を超えて、 能動的に取り組む

――プロジェクションマッピングを取り入れた最高の映像ショーをつくるため、どんな工夫がなされたのでしょうか。

村松:ネイキッドからの提案で、二段階のプロジェクションマッピングに挑戦しました。ステージ奥の壁面と、その手前に垂らされたメッシュ状の紗幕に、それぞれ異なる映像を投影するプランです。ステージ上ではキャストの芝居も加わるので、説明を聞いているだけではとても想像がつかず……僕らは「どういうこと? そんな演出ができるんですか?」となって(笑)。


神崎:私たちは紗幕を使った二段階投影、いわゆる擬似ホログラムのような演出の経験があったので、ある程度の想像がついていたんです。でも、村松さんやクライアントは当然「実際どう見えるの?」という状態なので、イメージをすりあわせていくのが大変でしたね。なので、壁や紗幕、ステージ周りの美術造作なども含めた模型をつくり、そこにプロジェクションマッピングを投影して、皆さんに観ていただくようにしました。

村松:模型でも3mくらいありましたよね?

神崎:そうですね。なにぶん、本番のステージが30mくらいあったので……。

村松:実物のプロジェクターや幕を使って模型に投影し、いろんな列からのお客様の見え方なんかもシミュレーションしながら、詳細を詰めていきましたね。

神崎:私たちにとってもこれだけの規模のステージは初めてだったから、大きな挑戦でした。でも「日本一のショーで観客を感動させる」という目標がある以上、多少無理めなチャレンジをするのは必須だと思ったんです。

村松:ネイキッドは、本当に前のめりですよね。他社なら受け身になって「どういう映像を映したいんですか?」と尋ねてくるような場面でも、ネイキッドはイベントのことをめちゃくちゃ勉強して理解度を高めたうえで「こんな見せ方はどうですか?」と提案してくれる。“プロジェクションマッピング屋”ではなく“コンテンツ屋”のスタンスに近いところが、とてもいいなと思いました。


神崎:ありがとうございます。でも、最初のうちは当社の制作チームと現場チームがうまく連携できなくて、ご迷惑をおかけしたりもしましたよね。序盤で村松さんからビシッと叱咤激励を受けて、チームのみんなのスイッチが切り替わったんです。以降は、クライアントと一緒に全員が同じゴールを思い描き、突き進んでいけたように思います。

前人未到のショーを紡いだ、その先に

――このプロジェクトを経て、どんな未来が見えましたか?

神崎:まず、本番のショーが成功したときは、シンプルに強い達成感がありました。観客の反応やSNSのコメントを見て、感動してもらえたことが伝わってきたし、いままでの努力がきちんと返ってきたと思えた。


村松:これまでいろんな最高級のイベントやショーを手がけてきた自負があるけれど、なかでもこのプロジェクションマッピングショーは、本当に前人未到の作品になったと感じていますね。このチームがクライアントと一緒になって、クライアントとも同じスタンスで取り組んだからこそ生み出せた、ほかには真似のできないショーです。そもそもプロジェクションマッピングとは、何もない壁に映像を映して、0から1への驚きを生む演出でした。でも今回は、すばらしいステージやキャストが存在している「超リアル」の空間に、さらなる演出としてプロジェクションマッピングを取り入れた。翌年の同イベントではAR技術も導入して、0から1どころか2から3くらいのエンタテインメントを生み出しました。これはもう、イベントの領域を完全超えてると思うんですよね。

神崎:2年目はコロナ禍のためにイベント自体のリアル開催ができず、オンラインでの新しい表現を追求することにもなりました。壁と紗幕の二段階投影は、現場で観ないと良さが伝わらない。だからこそARを新たな武器に、これまでのさらに一歩先を行く、リアルとヴァーチャルを融合させた表現にチャレンジできたと思います。

村松:デジタルとアナログを融合したショーや、オンラインだからこそ逆に面白いものって、いまの時代にすごくマッチした発明ですよね。いつかイベントという場がなくなってしまっても、新しいコンテンツを生み出すときに、大きなフックになってくる気がします。当社も、いずれネイキッドみたいに自社コンテンツをつくりたいんですよ。ぜひ、これからもさまざまな案件でご一緒できたらうれしいです。