Scroll

新しい高みを見るために、 プロフェッショナルは手を取り合う

株式会社LATEGRAは、日本トップクラスのさまざまなキャラクターLIVEやニコニコ超会議の「超歌舞伎」、中国No1バーチャルシンガー洛天依(ルォ・テンイ)などの3DCGライブを手がけてきたカンパニーだ。Showdotが「最高峰の3DCGキャラクターライブをつくりたい」という目標を掲げたとき、 LATEGRAの手は欠かせなかった。showdotが得意なのは、本物よりも本物らしい「超リアル空間」の演出。そこにLATEGRAの技術を組み合わせたとき、ステージには何が生まれたのか?

Profile

  • 前田圭太朗

    Keitaro Maeda

    株式会社LATEGRA

「つくりたいもの」と「つくれるもの」の ギャップを埋めていく作業

――showdotとLATEGRAが、初めて手を組んだ案件について教えてください。

前田:数年前にご依頼をいただいたときのこと、よく覚えていますよ。もともと人気のあった大型イベントで、3DCGのキャラクターライブをやりたいと言われたんです。そのイベントが前年度にどれだけのお客さんを集めたかは知っていたし、正直「ものすごい案件が来たな」っていうのが第一印象でした(笑)。

村松:当初決まっていたのは、最高峰のキャラクターライブをつくることだけでしたもんね。未知の世界すぎて、クライアントにも作っている僕らにも、何が正解なのかわかっている人がいなかった。だから、まずは「クライアントがイメージしているもの」と「LATEGRAが実際につくれるもの」をすりあわせていく作業が必要でした。

前田:やっぱり、リアルタイムのモーションキャプチャーでつくるキャラクターの動きには限界があるんですよね。皆さんはおそらく、映画みたいにぬるぬる動くのをイメージしているけれど、ショーでそのクオリティは厳しい……そういうギャップを埋めていくのが難しかったです。



村松:制作スキルのない僕たちは、イメージしている動きが「物理的につくれない」のか「技術的につくれない」のか、判断できないんですよね。だから、とにかく試写や検証を重ねて、目指すラインを探っていきました。

前田:細かい演出を足す前の「ベース」を達成するまでに、かなりの時間がかかってしまいましたね。でも、クライアントとも村松さんとも、本当によく話し合いました。そうやってざっくばらんなコミュニケーションが取れていたおかげで、状況やゴールをなんとか整理でき、完成までこぎつけられたんだと思います。まぁ、現場に入ってからもギリギリまで修正してましたけど……。

よりよいものを創り出していくために コミュニケーションを整える

――そうして完成したキャラクターライブに対して、周りの反応はいかがでしたか。

村松:それまでは平面にしか存在していなかったキャラクターが、いきなり等身大で現れて、目の前で歌い踊ったわけです。お客様にとって大きなサプライズになったし、とても喜んでいただけました。

前田:おかげさまで、それから何年も続くプロジェクトになりましたね。

村松:そうですよね。1年目は、クライアントが求めているクオリティもわからないうえに、LATEGRAがどこまで担ってくれるかも未知数だったから、チームとしてのバランスを取ることに苦心しました。でも2年目からは足並みを揃えて思いきり突っ走れたし、3年目にはようやく、目指していた高みの領域が見えてきた感覚があります。


前田:わかります。1年目にイベントの理念や思想をしっかりインプットしたから、2年目以降はそれが自然となじんできて。「クライアントがこういう理想を描いているなら、我々も新しい提案をしなくちゃいけない」という精神が、自然と芽生えてきたんです。作業負担の大きかったモーションキャプチャーを途中から引き取ってもらい、演出にパワーが割けたのも大きかったですね。手が空いたぶん、自分たちが得意とするCGやARに全力で向き合って、ライブがもっと魅力的に見える演出を突き詰めていけました。

村松:本当にたくさんの意見をやりとりしましたよね。おかげでお互いに信頼できると感じ、パートナーになっていけたと思います。

前田:照明や生バンドとの連携が必要な場面でも、村松さんがいてくれたことですごく助けられました。すべてのセクションに関わっているから、村松さんありきで円滑にコミュニケーションが進められる。……それ、冷静に考えたらすごいですよね。

村松:(笑)。僕はセクションの間を取り持つ役割ですから。「面倒な部分は僕が整えるんで、こことそこは各々うまくやってください」みたいな感覚なんでしょうね。怒り役や怒られ役にならなきゃいけないときもあるけれど、それでクリエイターが実力を発揮して、いいものが作れるんなら、それでいいんです。

120%までやりきるからこそ、 次のビジネスに繋がっていく

――showdotとLATEGRAで、これからどんなことをやれそうですか?

村松:今回の案件では「120%までやりきる」という共通認識を持って取り組めました。でも、多くの会社やチームは「合格点を取ればよくないですか?」という温度で、適当に仕事をしてしまうんです。僕は、そういう方々には「ここまでやりきれば、次はこういう未来が見えてきます。だから一緒にやってもらえませんか?」と鼓舞したりするんだけど……LATEGRAはそんなことを言わずとも、とにかくやりきる“気概”を感じさせてくれました。さらにクリエイティブにも信頼が置けるから、細かいコントロールは必要ない。1~2と9~10だけ握っておけば、あとの工程は自由に膨らませてくれるんです。3年目のキャラクターライブなんて、僕はほとんど介入せず、クライアントと一体となって進めてくれました。


前田;クライアントからも様々な演出プランが提案されていく中で、我々もそれを掛け合わせるように提案していく。クライアントと一体となって進めていく中で、どちらも徹底的にこだわり、半端なものは世に出したくない。だけどshowdotはクリエイティブに理解を示してくれるから、他のセクションとの調整をしてくれることで、チャレンジできます。こうやって、プロジェクトに関わるメンバーが一丸となって連携し、創り出したものでお客様に喜んでいただけるのって、本当にうれしいですよね。各分野のプロフェッショナルが繋がることで、自分一人ではいけない領域まで到達できる。


村松:心からプロだと思える人たちを集めているので、その感覚はすごくわかりますね。「クライアントのため」とか「お金のため」とか、各自のモチベーションは違うんだろうけど、みんなでチームが組めて日本最高峰のクオリティを出せているのは、単純にうれしい。これからオンラインの需要がどんどん高まるなかで、LATEGRAのARやリアルタイムレンダリングとは、もっとさまざまな融合ができそうな気がしています。

前田:村松さんにはイベント運営やグッズ販売など、リアルの場での圧倒的なノウハウがありますよね。そういう部分を教わりながら、新しいオンラインの可能性を一緒に追求していきたいです。自由な発想で、いろんな方を巻き込んでやれるプロジェクトがいいですね。

村松:前田さんも僕も諦めない人間だから、合ってると思いますよ。これからも一緒に、とことんチャレンジしていきましょう。